アンティーク家具で失敗しない為に

1.アンティーク家具屋と古道具・リサイクル店の違い

私はアンティーク家具業界で約20年働いていますが、今でもアンティークショップとリサイクルショップ・古道具店の違いについて説明する場面が多くあります。

ここでは、それぞれのお店のメリット・デメリットを解説しながら違いについて解説していこうと思います。

結論から言うと「家具を直しているかどうか」が一番の違いだと考えています。
ヨーロッパ等のアンティークの本場では「職人が直して後世に伝えた家具」が【アンティーク】、「直していない家具」で比較的状態が良い物は【ブロカント】、状態の悪い物は【ジャンク】と呼ばれます。

日本でもアンティークショップは職人の直しが入っていますが、リサイクル・古道具店では清掃のみの所が多いのが特徴です。

新品の家具やメンテナンス済みの家具でさえ職人の良し悪しで不具合が起きる可能性がある中、直していない家具であれば、どこかに不具合があるのは当然です。その代わりとして「安い」というメリットあるので、DIYが得意で不具合を自分で直せる方やアンティークの目利きに自身のある方などにはとても魅力的なショップだと思います。思わぬ掘り出し物に出会える事があるのも楽しい点ですね。

纏めると、アンティークは「修理済みなので安心して長く使える」「トラブルがあっても直してもらえる」この2点が大きなメリット。デメリットは「メンテナンス費用が価格に上乗せされている」という点。ちなみにBiscoの家具はアンティークです。

リサイクル・古道具店のメリットは何といっても「安さ」、この反面「破損や怪我は自己責任」「当たり外れがある」と言うのがデメリットだと私は考えています。

どちらが良い悪いではなので、それぞれの特徴を理解した上で、ご自身のライフスタイルに合わせて選ばれると良いと思います。

私の個人的な意見になりますが、不特定多数のお客様を相手にされている店舗様や企業様には、メンテナンス済の「アンティーク」をご使用頂きたいと思っています。万が一お客さまが怪我をされた際に「中古品だから」では片付けられません。場合によっては高額な賠償が発生する場合もあります。
その点、自店で修理をしているアンティーク家具は「製造物」扱いになりますので、アンティークショップ側が製造物責任を負う形となり、店舗側は逆に「家具の破損が原因で傷ついたの床」等の修理代が請求できる場合もあります。店舗のリスク回避の為にも非常に優秀なのが「アンティーク家具」なんです。

2.アンティークは広い意味で使われている

当店の店舗や本サイトでは「職人が直して後世に伝えた家具」=【アンティーク】という、アンティークの本場での考え方をベースにお話をさせて頂いていますが、日本の全ての企業さんが同じような使い方をしている訳ではありません。

【歴史的価値が高い物だけ】
【古い物の中で海外っぽい物の総称】
【古いものの総称】などなど。
これらにも全て「アンティーク」という言葉が使われています。

なので、「リサイクルショップが運営している、中古品の中から欧米風のデザインを集めた店舗」、「ジャンク品も含めた古い物全般を取り扱う店舗」などにも【アンティークショップ】という名前が使われていいます。

日本には「アンティーク」に関して明確な法的根拠はありませんので、使用方法に関してはそれぞれの認識で問題はないと思いますが、この少々曖昧な部分を逆手に取る悪質な業者もいますので、信頼できるお店を選んでください。

3.自分が求めているアンティークを考える

そんな事を言っても「自分に合ったアンティーク」ってどうやって探すの?と言う方も多いと思います。失敗した時にもその家具を毎日見る事になりますので、そうならない為にも、私が考える方法を是非一度試してみてください。

①ガッツリ使う家具なのか、雰囲気づくり用の家具なのかを考える
・例えば椅子でも「ダイニングテーブルで使う椅子」と「玄関で靴を履く時に使う椅子」では使用時間が大きく異なります、使用時間が多い家具はやはり頑丈な物を選ぶべきですよね。同じく「本棚」「食器棚」は頑丈でなければなりませんが「コレクション品を入れるショーケース」などはほぼ開閉せず重量も比較的軽いので、デザインや価格を重視して購入しても後悔する事が少ないと思います。

②サイズを明確にする
・サイズが合わなければ後々ストレスの原因になります。「150cmのテレビボード」のようなガチガチの指定ではなく「120~150cmのテレビボード」の様に少し下側に幅を持たせましょう。空いたスペースを埋めるには植物・ミラー・照明・ポスター等々ツールは沢山あります。「可愛いから」「有名ブランドだから」といって安易に選んでしまうと後々後悔してしまいます。

③いつまでに欲しいのかを決める
・今すぐに欲しいのか、入居まで時間があるのか、漠然と期間は決めずに探しているのか、最後の予算を決めるうえで重要な項目になります。

④予算を決める
・①・②を決めて条件に合った物を探す際、最後に「価格」を決めましょう。
例えばここで「椅子1脚/0~1万円」が予算とするならば、①の「強度」を諦めてジャンク品(中古品)を購入するか、③の「時間」を諦めてリサイクル・古道具店で掘り出し物を探す形になります。
逆に「椅子1脚/3~5万円」が予算であればアンティークショップで強度の高い家具をある程度の選択肢の中から選ぶことができると思います。
「椅子1脚/10万円」が予算であればヴィンテージデのザイナー家具も視野に入ると思いますので、アンティークショップで取り寄せをなんかも可能でしょう。

この様に目的や時間に合わせて予算組をすれば、強度も価格も納得のいくアイテムを購入する事ができるはずです。予算が合わず何かを諦める場合でも、自分自身で何を優先したかが整理できていれば、購入した家具にストレスを感じる事も少なくなると思いますよ。